海外志向

小林先生は中国やアメリカとの鍼灸の交流に多くの力を注いでこられました。

私が鍼灸学校を卒業したてで、小林先生の太子堂鍼灸院に勤めていた1998年に積聚会の「第8次遼寧中医学院研修」に同行したことがあります。その時は北京、遼寧、内モンゴル自治区のフフホトへ行きました。鍼灸のことはよくわかりませんでしたが、初めての海外旅行で緊張しながらも、北京や遼寧の観光、フフホトでのモンゴル相撲の体験や大草原に昇る朝日を見たことは、とても素敵な思い出です。

アメリカへご一緒したことはありませんでしたが、セミナーの準備、移動の大変さもありながら、海外のメンバーとの交流をとても楽しまれていたという話を聞いています。

近年は東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の影響で、海外との交流が少なくなってしまい、とても残念に思っていらっしゃったと思います。

どうして、海外との鍼灸の交流に尽力されてこられたか、小林先生の真意は今となっては分かりませんが、大学では留学生と交流をするサークルに入っていたということや、大学を卒業して貿易関係の会社に就職したというお話を伺ったことがあります。

鍼灸に携わる以前から海外との関わりをもって生活していきたいという気持ちを持たれていたようで、その若かりし頃からの海外への思いを鍼灸を通じて成就させたという面があるのかもしれません。

もともとの小林先生の海外への志向はどこから来たものなのか、もし鍼灸師になっていなかったらどのような仕事に就いてみたかったかを聞いてみたかったですが、もうお話を伺うことができないのはとても残念です。

小林先生の語学力について私が評価するなんておこがましいことですが、外国人の患者さんと英語で談笑をしたり、中国語で電話のやり取りをする姿はとても素晴らしく感じていました。

語学の勉強に関することで一つ。私が太子堂鍼灸院に勤めていた当時、治療院の机の上には一日一篇の英語詩が書かれた日めくりカレンダーが置いてあり、その英語詩を読むことを小林先生は日課にされていました。「継続すること」と「時間を無駄にしないこと」という一貫した姿勢の現れだったと思います。

小林先生には多くのことを教えていただき、またいろいろな経験を積む機会をいただき心から感謝しています。Thank you very much!

積聚会事務局・元太子堂鍼灸院受付
小幡智春

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