治療家の手

詔司先生から治療家の手は、こうあるべきと聞いたことがある。まず温かいこと。そして軟らかいこと。だから手は大事にしましょうと。冗談で、「私は、鍼より重い物は持たないようにしている。ああ、箸より重いものかな。」と笑っていたのを思い出す。

こんなエピソードもありました。詔司先生がお茶の入った湯呑を前に、「森君はこの湯呑を持てますか?」と言うので「はい。」と持ってみると、「これが熱くて持てないぐらいの手がいいねぇ。」と。そりゃあ持つよと思ったのと同時に、手の皮が薄いのも良い手なんだなぁと教えられました。

お願いして詔司先生と握手をして先生の手をよく触らせていただきました。赤ちゃんのような柔らかい手。温かい手。こういう手を目指そうと。

その詔司先生から色紙に手形をもらったことがある。色紙の手形は、アメリカセミナーのお土産にしたこともあり、朱肉を手につけ、何十枚も手形を作成し、「手が荒れちゃうねぇ。」「治療家としては良くないねぇ。」と笑顔で色紙に手形をつけている詔司先生の顔を思い出す。ちなみにいただいた手形の色紙は、今も治療室に飾らせてもらっている

積聚会役員・講師
森孝史